TVを見ていたら朝からパンチの効いたニュースが入ってきました。
どうやら自称ナンパ師が、差別発言でオーストリアから国外追放されたとのこと。
彼の名は、スイス出身の米国人ジュリアン・ブランク氏(26)。
そのナンパ術が日本人女性を蔑視する内容であるため、日本でも入国禁止を求める署名が集まっているということで話題に。
change.orgを見たところ、現在約5万票の署名が集まっているとのこと。
例えば同サイトchange.orgでコーセーの動物実験廃止の署名では2.5万票、都議会本会議内で女性差別発言をした自民党都議会議員処分を求める署名は約9.5万票。
まだ日本に訪れた訳ではない人間に対しての署名だとすると、かなり多い数字という印象。
これが「元服役囚が入国拒否された」という話であれば人権団体などが「彼らにも人権がある」と主張して議論が白熱しそうですが、なにせナンパ師なもので…
とはいえ、凶悪犯罪者というわけではないナンパ師を入国禁止にすることは日本の法律では可能なのでしょうか。
日本には出入国管理及び難民認定法(以下入管法)という法令(又は法律。成り立ち上微妙な背景がありますが割愛)があり、入国時の条件や拒否事由などが記載されています。
読んでみたところ、案の定ややこしい。
検索すると出入国管理行政を取りまとめている入国管理局のHPに「上陸拒否事由」がわかりやすくまとめてあったので、引用します。
(入国管理局HP各種手続き案内Q&A13より引用:http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/)
Q:上陸拒否事由とは何ですか。また,どのような外国人が入国を拒否されるのですか。
A:上陸拒否事由とは,我が国にとって公衆衛生,公の秩序,国内の治安等が害されるおそれがあると認める外国人の入国・上陸を拒否する外国人の類型を定めたものです。具体的には下記のような外国人が我が国への入国を拒否されます。
①保健・衛生上の観点から上陸を拒否される者
②反社会性が強いと認められることにより上陸を拒否される者
③我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を拒否される者
④我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸拒否される者
⑤相互主義に基づき上陸を拒否される者
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今回のジュリアン・ブランク氏の場合、当てはまるとしたら②でしょうか。
法務省の統計統計によると、2012年に日本上陸を拒否された外国人の数は2487人。この年の外国人入国者数が917万2146人なので、ざっくり単純に計算すれば日本に上陸しにきた人の約0.027%が入国を拒否されています。
※2013年度が法務省プレスリリースにて発見できなかったため古いデータを使用。
過去の事例では、政治問題に絡む人や麻薬での逮捕歴がある人などが入国拒否されており、②も絡むけど多分④+他の条文…みたいなケースが多いようです。
少し前、 韓国人歌手のイ・スンチョル氏が日本への入国が認められずニュースになっていましたね。こちらも政治問題が関係するという推測です。
ジュリアン・ブランク氏は確かに反社会性要素があります。
かといって入国拒否できるほど巨悪ではない。
(もちろん自分の頭を股間に押し付けられたイチモツ握りつぶしますが)
オーストラリア法は詳しくないので触れませんが、主観では日本では彼の入国拒否は難しそう。あくまでも主観です。
外国の方がたくさん日本を訪れてくれることはとても良いことです。だからこそ外国人のイメージ低下の原因となる人物は、あまり日本に来て欲しくありません。
彼にまつわる報道に関しても、初期に流れた動画テロップは「レジの娘に白人がキス」でした。白人というカテゴリーで一括りにされてはたまったもんではありません。
日本人も外国人も平和に仲良くin Japan、を目指して、例え彼が日本でセミナーをやっても可哀そうなものを見る目で半笑いしてあげましょう。
法学部の方は、出国入国残留などのキーワードでマクリーン事件を思い出す人も多いのではないでしょうか。懐かしい…それでは今日はこんなところで。
3連休まであと少し!
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[2014.11.20追記]
謝罪した模様。日本に入国を試みたというニュースもないようなので、この話題はこれで終わりのようですね。